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【小説】東須磨は夕方六時(2)

 富田です。

 昨日に引き続き『東須磨ラブ・ロック・フェスティバル』の元となったものをアップします。
 文章として破綻している部分が多くありますが、自戒を込めるという意味でもそのまま掲載します。

 …それではどうぞ。


 そんなある日。
 いつものようにゲーセンに誘ってきたクラスメートには「真実を欲しがる僕は真実を求めに行く」と、どこかで聞いたような台詞を飛ばして『音楽の正体』の探ることにした。まずは学校の屋上を探る。理由は簡単。青春漫画や小説だと大抵屋上でギターを弾いたり恋人同士で戯れたりしているから。本当にそれだけの理由。現実はそんな単純じゃないよな・・・と思って太陽が燦々と照りつける学校の屋上へと足を踏み入れると―

 ―ギターをかき鳴らし、ナンバーガールのの『透明少女』を歌っている

 ―普段は寡黙な男子生徒・・・中谷圭吾と、

 ―目があった。

 普段の真面目で寡黙な姿からは考えられないハジけっぷりを見せる中谷くんだった。いや、ハジケっぷりなんて言葉では片付けられない、攻撃的かつ情熱的な中谷くんがそこにはいた。その間も暑いながらも爽やかな風が吹き、しばらく屋上を沈黙が支配する。そして揺れる僕のツインテール。先に言葉を発したのは中谷くんだった。睨みつけるように僕を見ている。

「・・・何?」

 言葉を発したときに現れたのは寡黙な中谷くんとは違う、攻撃的な顔つき。僕はとっさに

「お…音楽がき・・・きき聴こえてくるのが気になって・・・ばばばば化けの皮を剥がしに・・・出かけてきました・・・ハハハ・・・」

 と中谷くんが前に歌っていたエレカシの別の歌にある歌詞を織り交ぜて華麗にコール・アンド・レスポンス。決まった、と思った。少なくともこの時は。

「チッ」

 嫌悪感を丸出しにしながらあからさまに舌打ちをする中谷くん。そんな中谷くんを今まで一度も見たことがなかったためか、僕はえらく萎縮してしまった。いつもの静かな中谷くんとは違う、ナイフを突き立てられているような怖さを醸し出している。僕、もしかしてこれから更に人気のない場所まで連れていかれて殴られ、カツアゲでもされてしまうんじゃないだろうか?何としてもそれだけは避けねばならない。せっかくの美貌に傷がついたらもう男の娘じゃいられない!それは本当にまずい!・・・なんて今考えれば非常にあほくさいことばかり考えていたら。

「・・・で?俺が屋上で歌に似合わない声でギターかき鳴らして歌ってるってバラすのか?嗤いものにするってか?」

「いや・・・」

 中谷くんが迫ってくる。こ、怖い。

「じゃあ何だよ?ぼっちが音楽やっちゃいけねえってのか?はっきり云えよカマ野郎」

 中谷くん、僕のことはカマ野郎とか思ってたんですか・・・ちょっと知りたくなかったです。

「ずっと中谷くんの歌が気になってて・・・僕の好みの曲が多かったし、声も綺麗だし・・・」

 ・・・云った。包み隠さず。それを聞いて黙り込む中谷くん。放送委員が告げる部活動開始時刻に鳴るチャイムと近くを走る電車の音だけが屋上を包んでいるようだった。

「・・・じゃあ、明日、放課後にここへ来い」

 中谷くんはそう一言云い残し、アコースティックギターをケースに仕舞い、屋上から逃げるように去っていった。

 翌日。
 この日も昨日とは打って変わって湿っぽい風が頬を掠める日だった。しかし僕からすればそんなことはどうでもよく、意味深な言葉を残していった中谷くんが、どんなことをしでかすのかが気がかりでたまらなかった。そして来たる放課後。僕は中谷くんの云う通り、屋上へと向かった。そんな僕にいつものように話しかけてくるクラスメート達。

「お、今日も『真実を求めに』行くんか?」

 僕は苦笑しながら答える。

「そうなんだけど、真実を求めに行ったら逆に迫られちゃってねぇ」
「何だそれ・・・なっちゃんを誘引するとかめちゃくちゃだな」

 誘引って。うすうす気づいてたけど、コイツらなんかおかしいよ。

「そんなの行かなくてもいいじゃん。なんかブッソーな感じだぜ。そんなややっこいのに首突っ込むのはやめてサッカーでも見に行こうぜ。今日は丁度『阪神ダービー』だし」

 サッカーには興味が無い訳じゃないから行きたいような気もするけど、何でコイツらこんなに必死なんだ。それも明らかに色目を使っているし。

「いや、僕はどうしても真実を知りに行かなきゃいけない。だから今日は無理。ごめんね」

 コイツらが色目を使っているかどうか見抜くため、試しに女の子らしい謝り方でクラスメートに謝っておく。これで諦めてくれるだろう。

「・・・うーん、そこまで云うなら。残念だけど」

 一件落着。でも、

「・・・あーいう謝り方をされるとなんか欲情してしまうぜ、危ねえ危ねえ」

 なんて会話も聞こえてきたけど聞かなかったフリをしておく。本当にブッソーな連中だな。これで色目を使っていたことが確定的になった。

 <つづく>

テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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