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【小説】Hな義妹の趣味は読書ですっ-第一話『知らない女性』

 富田です。

 Pixivにアップしている小説の全年齢版です。
 タイトルこそアレですが、エロ描写は一切排除してみました。

 …それではどうぞ。



 二年前、僕…村田俊明の両親が離婚した。

 母は僕に「当然、あんたはお母さんについてくるわよね?」と問うた。僕は母が嫌いだった。遊びと称して生活費まで投じてホストに貢いでいたからだ。そのことを父は最近まで知らなかった。僕が父についていくことを宣言すると、母は『俊明は悪魔の子だ!!』と罵倒し、発狂した。男遊びに興じる女についていくなんてなんてまっぴらごめんだ…僕はそう思いながら母が発狂するさまを見ていた。

 それから数ヶ月が経った頃、知らない女性が家に頻繁に出入りするようになった。中岡早紀さんというらしい。不本意ながらもあの憎き母の遺伝子を継いでいるせいか、僕は早紀さんと会うのも気が引けてしまい、顔をまともに合わせることが出来なかった。相手は誠実そうで綺麗な女性。完全無欠の女性に見える。しかし、そんな早紀さんにも一つだけ気がかりなことがあった。それは、ボーイズ・ラブの愛好者―つまり、貴腐人であること。僕の心は一気に不安でいっぱいになった。

 早紀さんの連れ子さんとも会う機会があった。こちらは中岡佳苗さんというらしい。聞いた話によれば、中学3年生の女の子で読書が趣味であるという。親子揃って腐女子なのではなかろうか…と僕の不安は増幅するばかりであったが、それは杞憂であった。うちの親子には勿体無いくらい、寡黙で清楚な、非常に文化的な子だった。そんな佳苗さんが僕に一冊の本を手渡してきた。

「プレゼント代わりというかなんというか…最近、私が面白いと思って読んでいた本です。暇がある時でいいので、もし宜しければ…」

 その本とは、映画監督として名の知れている園子温の『愛のむきだし』。同名の映画があることは知っていたが、小説が原作だったのか…ということをこの時初めて知った。それと同時に、佳苗さんはサブカルチャー方面の子で、結構早熟な子なんだな…と気付かされた。そして、意外にも生々しい本を好むのだな…とも思った。

 それからは佳苗さんと様々な談義に花を咲かせた。佳苗さんは奇しくも受験期だったこともあり、工業高校に通う僕は理科くらいならば教えられる…と思い、ささやかながら勉強を教えたりもした。僕達の仲は日に日に親密になっていった。

 ―そして、あの母との離婚から丁度二年が経った今日、父が早紀さんと再婚した。

「中岡早紀…いいえ、村田早紀と申します。これからも末永く宜しくお願い致します」

 母となる中岡さん…いや、早紀さん。改めて思うが、非常に上品そうだ。その容姿や所作からはとても貴腐人とは思えない。そしてなんとも綺麗なこと。もっさりした『うち』の父には勿体無いくらいの女性だ。

「今日から家族になる、中岡…いや、村田佳苗です。お義兄さん、今まで勉強を教えてくださりありがとうございました。これからもよろしくお願い致します」

 思った通り、義母に似て礼儀正しい義妹だ。心根が下品な僕とは大違いである。

「こちらこそ、よろしく…お願いします」

 改めて『妹』になると思うとぎこちなくなってしまった僕。佳苗さんからはどう見えていたのだろう。ともかく、新しい家族として暮らすことになる僕達。期待半分、不安半分というところだった。僕は佳苗さんと出会った時からずっと「佳苗」と、フランクに呼べないでいた。同じように佳苗さんも僕のことを「俊明さん」と呼んでいた。そんなぎこちない関係が数ヶ月続いていたが、ある休日、僕は信じ難い光景を目にする。

 それは、おやつの煎餅とお茶をの部屋へ持って行ったときのことだった。ノックして部屋に入ると、佳苗さんはベッドに身を預けて本を読み耽っていた。カバーは白くなっている。恐らく、本来のカバーを裏返しにしているのだろう。

何の本だろう?と思いつつ、机におやつを置く。

 その時、佳苗さんは本を伏せた状態でベッドに置き、ベッドから身を起こした。手洗いへ行く旨を僕に言い残し、部屋を離れていった。

 どうしても本の内容が気になった僕。
 カバーを裏返しにするくらいだから何かあるに違いない―そう思った僕は恐る恐る本を表に向けてみる。

 そこにあったのは―

 <つづく>

テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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