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【小説】44系統

寂れた旧市街の寂れたバスターミナル。
バスを待つのはマイカーを持てない年寄りばかり。
乗客はあなたを含めて6人。そんな中では違和感のあるあなたと私。
見送りに来たのは私だけみたい。皆、これから旅立つというのに。

「本当に、行っちゃうんだね…」
「仕方ないさ、俺は運が悪かった。それだけの話」

それ以外に会話はなかった。
いや、会話など出来なかった、と云う方が正しいかもしれない。
少なくとも私はそんな心境じゃない。
老人達も会話を交わすことはなく、バスターミナルは静寂に包まれていた。

リベット打ちの古いバスが静寂を破る。
年寄りたちは会話をすることもなく、そそくさとバスに乗り込んでいく。
あなたも、このバスで旅立つことになるんだね。

あんなことがなければ、このバスに乗る必要なんかなかったのにね。
あなたは何度もこっちを見る。そりゃ、名残惜しいよね。
やり残したこと、沢山あったもんね。

バスは他の乗客がいないことを確かめて、扉を閉め走り去っていく。
追いかけていきたい。あなたと同じバスに乗っていきたい。
でも、乗ってはいけない。追いかけてはいけない。
あなたと一緒になれたとしても、もう戻れなくなるから。
もう逢えないと思うと寂しいけど、私は前を向いて歩いていくよ。

本当に、さよなら。
いつか、私も行くから。

また会おうね、天国のバスターミナルで。今日みたいに。

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